The Voices of Time

2019年8月30日 (金) ~9月8日 (日) / 絆屋ビルヂング(京都) 

京都市中京区柳⾺場三条上ル油屋町94-1 絆屋ビルヂング 

Open hours : 11:00 - 19:00

本展は、現代における「⾔葉」と「イメージ」について、「時間」というスケールで問いかけてみようという企画

です。 「⾔葉」や「イメージ」は、⽂化的歴史的な⽂脈に属するものであれ、個⼈的なものであれ、対象化し、共

有し、 展開することができます。それらは⼈間が⽣み出したものでありながら、知覚や認識の産物というよりは、

むしろ⼈間精神を構成する要素、あるいは精神⾃体が組み込まれた記憶とも⾔えるでしょう。展覧会タイトル

『The Voices of Time』(時の声)は、J・Gバラードの初期短編⼩説から取られています。今⽇、「⾔葉」や「イメー

ジ」などによる情報ネットワークの圧倒的な加速によって⼈間存在の物象化も加速しており、バラードの⼩説世界は

⼈々の内的世界においてリアリティを増しています。私たちはまるで⼩説の登場⼈物のように、 時間の中に位置す

る沈殿した記憶からの働きかけに従って、それ⾃体を寄せ集め織りなしていくのかもしれません。  

国⾕は、⼈間の空間への関わりについて、⾝体が常に現実の空間の中に置かれているのと同時に、空間を⾃らのも

のにする事によって環境を捉えていると考えています。その意味において国⾕の彫刻作品は、場として⾝体の⼀部 

となり、認識や論理のレベルから内⾯的な領域へ思考を拡⼤していく装置のような機能を果たしていくものです。本

展では、近年制作しているネオンサインによるシリーズの新作を展⽰します。このシリーズは、ある特定の⽂脈か

ら ⼀⾒して関連のない⾔葉を選び出し、それらをさまざまな事柄と接続可能な情報として扱います。そしてそれら

を台座の上に伏せて 置くことで、⾔葉としての意味を機能させると同時にそれらの持つ意味を無効化する物質的な

光のかたちとして作品化しています。 

 三宅はこれまで、既存のイメージを出発点に、絵画と写真の画像⽣成過程を異種交配させるようなフォトグラム作

品を中⼼に制作してきました。膨⼤な量のイメージが氾濫する現代においてもあえてイメージを⾒るという営為に重

きを置く三宅の美術家としての実践には、⼈々の眼差しに時代を超えて内在する「絵画的な像」についての思索が反

映されています。本展では、ベルリンオリンピックと敗戦をまたいだある個⼈の追想、個⼈と歴史の眼差しの変化と

交差を⽰す写真を起点に、その写真が撮影されたポツダムの地を散策することで制作した映像作品『Garden

(Potsdam)』を、とりわけブラウン管テレビを⽤いて展⽰します。 

本展において、ネオンサインやブラウン管、反転した視点を⽤いた作品をとおして、「⾔葉」や「イメージ」は時 

間の中に発⽣するある種の⾝体的経験として提⽰されることでしょう。情報によりあらゆるものが先取りされてし 

まったかのような現代、個々の⼈間の想像⼒を伴う奥⾏きある感応はいかにして可能だろうか、美術の場において捉

えなおそうとう試みを、この機会にぜひご⾼覧下さい。  


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